via www.youtube.com
小沢・小山田と同い年が私の周りにはなぜだかやたらいて(研究室の先輩だとか夫だとか飲み仲間だとか)彼らが好きなものに割と詳しいのですが、まぁゴダールは鉄板ですよね。90年代当時は「勝手にしやがれ」とか「気狂いピエロ」とか見せられて「さっぱり訳が分からん!」と思ってたんですが、今見たらやっぱよいです…大人になったなぁ、私も。
上の動画は「女は女である」という作品なのですが、色彩感覚とか、渋谷系そのまんまですね。
あと当時は見られなかった(未公開作品だった)「はなればなれに」をはじめて見たのですが、このダンスパート本当にすばらしい…そして、渋谷系まんますぎる。
via www.youtube.com
それにしても、どうして90年代にヌーヴェルバーグが流行ってたんでしょうね?
…って、これだと訳が分からなさ過ぎるな。
このメモは読者として「非リアルタイム」の小沢君ファンを意識しているので、若干丁寧に書きます。
えーと。
ゴダールってフランスで1950年代の末頃に巻き起こった「ヌーヴェルバーグ」っていうフランス映画の新しい潮流の代表的作家のひとりなんですよ。渋谷系のアーティストがものすごい情報収集おたkだったとして、インターネットも満足にない時代に、自力で30年前の映画にたどり着くって…ありえなくはないけどなんか不自然な気がしてしまうんですよねー。今と違って名画座とか活発だったろうけど、それにしてもなー。
とりあえず思うのは…。
・「ヌーヴェルバーグを評論すること」は、80年代には流行ってたかもしれない。
ジル・ドゥルーズというフランスの哲学者がいまして、映画に関する論考も有名なんです…。んで、80年代頃にニューアカデミズムっていう哲学のブームみたいなのがあって、哲学用語が流行語大賞になっちゃうくらい日本を席巻していたのですが、その時にたぶん間違いなくドゥルーズはみんな読んでいた…か、読んでるフリをしていた…と思う。
あと蓮實重彦っていう、本来はフランス文学者なのですが哲学方面でものすごい有名な東大の教授がいて…まぁ今でいうと内田樹みたい(って同列にするのは個人的にすごくイヤですが)な感じで…バリバリ発言していたんですよね。んで、その人も映画の論評が得意だったんです。
…ということで、ヌーヴェルバーグを知っている=知的でオサレでカッコイイという図式は、80年代後半にはたぶんあった。…のではないかなぁ。
・日本版の「ヌーヴェルバーグ」は、70年代に結構影響力があったかもしれない。
ヌーヴェルバーグを意識した映画は国内でも早い時期から作られてたと思うのですが、やっぱ世代的な影響を持つのはテレビドラマなんじゃないかなぁと思うんです。『傷だらけの天使』(1974)とか『探偵物語』(1979)とか、ヌーヴェルバーグといってよいのか分からないけど、オサレなテレビドラマ多いですよね。
あと、個人的にはテレビ版のルパン三世第一期もヌーヴェルバーグっぽいような気がしてて。でもそれの放映が1971年ですねー。ってことは、68年生まれだと3歳くらいか。再放送とかで見てたり、しないのかなぁ。
…ということで、70年代に普通にテレビを見ていたら、お茶の間でもヌーヴェルバーグの雰囲気を知ることができた。…のではないかなぁ(ついでにいうと、それは本当に一瞬だったんじゃないかなぁ。いいかげん長くなったので説明省きますが、オシャレではない、かっこよかったけど毛色がちょっとちがう…『太陽にほえろ』とか…タイプのドラマの方が結局流行っちゃってるような気がするので)。
とか思いました。
こうやって考えると、70年代初頭にものごころついてテレビを見てて、80年代半ばにちょい難し目の本を読めるくらいに育っている世代、つまり60年代産まれの人が「知的でオサレ」な渋谷系を牽引したのもなんか分かる気がするなー。
コメント